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広告看板の知識

◆INFORMATION◆ 下記の項目よりお選び下さい
屋外広告物標準条例 広告物の色彩 広告物とシンボル 都市景観と広告
環境と広告物の表示 広告物と文字 広告物とレイアウト  

 

屋外広告物標準条例

屋外広告物法は、屋外広告物行政における規制の基準を定めた法律であって、実際の屋外広告物規制は、各都道府県又は指定都市が屋外広告物法に基づく条例及びこれに基づく規則、告示等を定めて独自に行っている。従って、屋外広告物規制の内容をマスターするには、各都道府県及び指定都市の条例、規則、告示等を正確に理解することが必要になります。しかし、47都道府県及び11指定都市に及ぶ地方公共団体の条例等の内容をすべてマスターすることは難しく、また、実際に屋外広告活動を行わない都道府県又は指定都市の条例等についてだけしか理解していないというのでは、一つの都道府県又は指定都市の区域を超えた広域的な屋外広告活動が行われている現状からして、極めて不当である。そこで、まず全国の屋外広告物規制の標準的内容をマスターするために屋外広告物標準条例(案)について理解し、次いで実際に屋外広告活動を行う都道府県又は指定都市の条例等を、標準条例(案)との異同に留意しつつ理解していくのが適当と言えます。

1.屋外広告物のあり方:
(目的)
第1条:この条例は、屋外広告物法(昭和24年法律第189号)の規定に基づき、屋外広告物(以下「広告物」という。)について必要な規制を行ない、もって美観風致を維持し、及び公衆に対する危害を防止することを目的とする。
(広告物のあり方)
第2条:広告物又は広告物を提出する物件は、美観風致を害し、及び公衆に対する危害を及ぼすおそれのないものでなければならない。

2.屋外広告物が規制される地域:
(禁止地域等)
第3条:次の各号に掲げる地域又は場所において、広告物を表示し、又は広告物を提出する物件を設置してはならない。
一 都市計画法(昭和43年法律第100号)第2章の規定により定められた第一種住居専用地域、第2種住居専用地域、美観地区、風致地区又は緑地保全地区(知事が指定する区域を除く。)
二 削除
三 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第27条又は第56条の10第1項の規定により指定された建造物及びその周囲で知事が指定する範囲内にある地域並びに同法第69号第1項若しくは第2項又は第70条第1項の規定により指定され、又は仮指定された地域
四 ○○県文化財保護法条例(昭和○○年○○県条例第○○号)第○○条の規定により指定された建造物及び同条例第○○条の規定により指定された○○○並びにこれらの周囲で知事が指定する範囲内にある地域
五 森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項第11号の規定により指定された保安林のある地域(知事が指定する区域を除く。)
五の二 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第3章及び第4章の規定により指定された原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域(ちじが 指定する区域を除く。)
六 都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律(昭和37年法律第142号)第2条第1項の規定により指定された保存樹林のある地域
七 高速自動車国道及び自動車専用道路の全区間、道路(高速自動車国道及び自動車専用道路を除く。)の知事が指定する区間並びに鉄道、軌道及び索道の知事が指定する区間
八 道路及び鉄道等(鉄道、軌道及び索道をいう。以下同じ。)から展望することができる地域で知事が指定する区域
九 都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第1項に規定する都市公園の区域
十 河川、湖沼、渓谷、海浜、高原、山岳及びこれらの附近の地域で知事が指定する区域
十一 港湾、空港、駅前広場及びこれらの附近の地域で、知事が指定する区域
十二 官公署、学校、図書館、公会堂、公民館、博物館、美術館、体育館、病院及び公衆便所の構造物並びにその敷地
十三 古墳、墓地及びこれらの周囲の地域で、知事が指定する区域
十四 社寺、教会、火葬場の建造物及びその境域で、知事が指定する区域
十五 ○○○○○・・・・・・・・・・・
(許可地域等)
第5条 次の各号に掲げる地域又は場所において、広告物を表示し、又は広告物を提出する物件を設置しようとする者は、規制で定めるところにより、知事の許可を受けなければならない。
一 第3条第1号かっこ書、第5号かっこ書又は第5号の2かっこ書に規定する区域
二 道路及び鉄道等(第3条第7号に該当するものを除く。)の知事が指定する区間
三 道路及び鉄道等から展望することができる地域(第3条第8号に該当するものを除く。)で知事が指定する区域
四 河川、湖沼、渓谷、海浜、高原、山岳及びこれらの附近の地域(第3条第10号に該当するものを除く。)
五 港湾、空港、駅前広場及びこれらの附近の地域(第3条第11号に該当するものを除く。)で知事が指定する区域
六 ○○○○○
2 前項各号に掲げる地域又は場所のほか、市及び次の各号に掲げる区域において、広告物を表示し、又は広告物を掲出する物件を設置しようとする者は、規則で定めるところにより、知事の許可を受けなければならない。
   ○○郡○○町大字○○
   ○○郡○○村大字○○

3.広告物の表示等が禁止される物件:
(禁止物件)
第4条:次の各号に掲げる物件に広告物を表示し、又は広告物を掲出する物件を設置してはならない。
一 橋りょう、トンネル、高架構造及び分離帯
二 石垣、よう壁の類
三 街路樹、路傍樹及び都市の美観風致を維持するための樹木の保存に関する法律第2条第1項の規定により指定された保存樹
四 信号機、道路標識及び歩道柵、駒止めの類並びに里程標の類
五 電柱、街灯柱その他電柱の類で知事が指定するもの
六 消火栓、火災報知器及び火の見やぐら
七 郵便ポスト、電話ボックス及び路上変電塔
八 送電塔、送受信塔及び照明塔
九 煙突及びガスタンク、水道タンクその他タンクの類
十 銅像、神仏像及び記念碑の類
2 道路の路面には、広告物を表示してはならない。

4.禁止される広告物:
(禁止広告物)
第8条:次の各号に掲げる広告物又は広告物を掲出する物件を表示し、又は設置してはならない。
一.著しく汚染し、退色し、又は塗装等の薄利したもの
二.著しく破損し、又は老朽したもの
三.倒壊又は落下のおそれがあるもの
四.信号機又は道路標識等に類似し、又はこれらの効果を妨げるもの
五.道路交通の安全を阻害するおそれがあるもの

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環境と広告物の表示

1.コミュニケーションと広告物:
屋外広告物はテレビ、ラジオ、新聞、雑誌など、他の情報メディアによるコミュニケーションと同様に、社会的コミュニケーションにおける必要な情報の供給という立場からその存在を価値づけられています。この立場から屋外広告を分類すれば、企業(コーポレート)サインと公共(パブリック)サインに大別することができるのです。
企業サインの内容は、企業広告としてポスターなどによる企業や商品イメージなどの訴求や、CI(コーポレート・アイデンティティ)のための企業名や商品名を表示したものなど、これによって自社イメージを記憶させ購買時点へと接続させたいという願望、また、自社社員及び流通過程の関係者の勇気づけなどを目的とし、その内容・種類は多彩です。 
公共サインには、公共的な情報の表示にかかわるものの他に、公共機関、公共の施設において必要とする存在、位置、方向を表示するサインを目的としています。
また、屋外広告を広告訴求の機能による分類に従えば、テレビなどのよる直接訴求とCIなどによる間接訴求に分けられます。この場合、屋外広告は間接訴求に入り、企業イメージの向上に寄与する媒体であるということになるのです。

2.都市における環境:
  人間の生活環境における必要な要素は、働く場所、住む場所、休む場所、遊ぶ場所といわれている。人が密集して居住する都市は、それらの要素を合理的に計画し、生活しやすい環境を造りだすことが必要です。
  都市計画は人口、産業、土地利用、緑地および交通系統などの計画を組み合わせて立案され、都市のもつ機能を満たすために必要な方法を発見しようとすることである。その実現のためには市民の私権の自由な行使も制限されることがあります。
  都市における環境はその歴史のなかで概略次のような変化を見せてきた。
  ヨーロッパの中世の都市では防壁をもち街路は狭く不規則なものであったが、ルネッサンス期によると商業の発達にともなって都市は著しく発達し、城壁や宮殿・寺院の広場は拡げられ、中世都市の改造が活発になっっていきました。
  16~17世紀にかけて<理想都市>の構想が次々と発表されました。都市は多角形の保塁、直線的な街路、広場などを備えるようになります。
  17~18世紀には中央集権国家の成立とともに、都市の軍事的意味は薄らいで、街路や広場の幾南学的な構成の美しさが重視される。この時、ローマのポポロ広場、ベニスのサンマルコ広場、パリのシャンゼリーゼ通りなどが建設されました。
  19世紀になると産業革命による工場工業制の発達によって、膨大な数の人々が都市に移住して労働者になりました。さらに大都市の弊害から逃れるために、田園と市街地の長所を合わせもった田園都市を建設しなければならないという提案が着手されたのです。
  その後この考え方を発展させた衛星都市の構想が発表された。これらは幾南学的構成や、装飾的街路の建設を主体としたこれまでの近世都市計画とは異質のものです。
  第1次世界大戦後、ル・コルビュジェは自動車交通と高層建築を結合し、しかも幾南学的で厳密な調和美にたって考えることを提案しました。
  このように流動し、変化する都市の機能や生活の要求は、複数で多様な人間の環境に対する生活心理と結びついているのです。
  そして、現代では機械化された環境を少しでも人間のためにという方向で、問題を解決していくことが望まれています。

3.環境の形成と広告物:
  都市には自然を取り戻したいという願望があります。自然との調和を求める人達の人間性の回復を希求する心が、あまりにも人工的、機械的となった空間での生活の拒否のあらわれであり、自然への回帰本能ともいえるものと結合への願いでしょう。このことから環境に対する抵抗力が生まれ、その保全とか、緑化とか、緑の確保とかの様々な問題提起が行われることとなりました。
  都市や自然など人間を取り巻く環境は、人間に影響を与え、そこに生活する人々の人生観をも決定してしまうのです。
  都市の視覚的環境は建築をはじめとする種々の建造物によって形成されています。これらの造形物は人々の目を強制的にその視覚の中に誘い込みます。
  屋外広告も当然これらの環境の視覚形成に参加することになるので、都市環境における広告景観形成者としての自覚のうえに立った製作態度が望まれます。そこで、環境に対する制作上の基本態度として[順応」と「改善」という2つの型をあげることができるのです。

1.環境への順応についての考え方:
その必要  環境を破壊しないこと。環境との調和を守ること
その条件  刺激的な形態や色彩を押さえること
その効果  環境のなかでは軽い緊張感を与え環境を引き立てる効果を持つようにすること

2.環境の改善についての考え方:
その必要  環境をつくり変えること
その条件  集中力を持たせること。被覆力を持たせること
その結果  人工的環境の形成のために整理された統一感を持たせ、全体として大きなスペース、
例えばある街路全体、ある施設ある環境などの造形に参加する。

ここにあげた順応と改善に関する方法は、相反する考え方ですが、製作参加の条件の違いによって、いずれかの立場が要求されることになるので暖味な企画にならないためにも、いずれも積極的な態度であると理解して参加することが望ましいです。そして、環境の形成にたいして望まれることは[何かを洞察さる」ことが必要です。

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広告物の色彩

1.環境と色彩:
環境は色彩によって趣を変え、その価値も変わります。とりわけ日本の四季はそれぞれに色をもち、色彩の変化を楽しませてくれます。自然の持つ魅力はこの変化のなかにあり、変化こそが自然でなのです。これに対して人工のものは自然のように変化することのないものとして造られるので、変化のためには作り変えが必要になります。しかし、人工物は常に一定で不変であることが望まれるから耐久性のある材料によって変化の起きないように工夫されています。
色についてはわれわれの感覚は四季のように変化するものとして受け止めています。このような日常の都市環境とかかわる色の要素は次の通りです。

1.建物の色
   a 材質の色
   b 材質の加工による色
   c 材質の塗装による色
  2.植物の色彩
   a 樹木の色
   b 下草の色
  3.道路の色
  4.ストリート・ファニチャの色
  5.展示物やウインドウの色
  6.屋外広告物の色
  7.照明
  8.その他(移動するもの、人や車など)

これらの都市環境を構成するものは、お互いに他を刺激しあって全体を形成していますが、人工的配慮によって十分統制できるものです。
  環境は色彩によってコントロールされているといっても間違いではありません。人間の注意をひくための色彩が人間に背かれるということもあります。個を全体に和合させることによって、人間にとって素晴らしい空間を造り出すために色彩の機能は十分な協力を惜しまないでしょう。

2.色彩と表示効果:
  街に出てみると広告物の何と赤が多いことか。色光では赤が遠方からでも弱い光のときでも見分けやすいということなのか、また、赤や黄色などの暖色系は進出色として近くに見えるということが原因なのか。それとも、色の好みによるものなのか。服装においては流行色があるが、広告物にはないのか。ただ目立つことのみが広告物の色彩としてそんなに大事なことなのか。いろいろと考えることが多いです。
  色彩は材質のもつ光の反射率によって決まるものである。プラスチック、塗料、コンクリートなどの物質は光の効果によって変わる様々なものがあるので、各種の材料が構成する広告物は単に色彩の調和論では解決しえない複雑さを持っているのです。一般に物が見えるためにはそのものの照明状態や大きさが関係するが、形が見えるためにはその形の色と背景になる色の間に相違がなければいけません。形を知る上で図形の色と地色の色相や彩度が違っても、明度が似ているときは形は不明瞭になります。
  このような可視効果が低い状態は、形が小さいとき、形が複雑なとき、両方の色が彩度が低いとき、それを見る距離が遠いとき、あるいはそれを照らす光が弱すぎるか、または反対に強すぎるときなどによく起きる。
  厳密にいえば目立つということは、むしろ注意価値に関することでなのです。単に見えやすいというだけでなく、周囲と異質であるということによって注意を引き付けるということ、つまり差異のあり方が問題となります。
  環境における色彩は送り手の趣好によって選ばれるものでなく、それを見る人達の側からの問題として、注意とか、安全とかを中心とした視覚的調和と、安心と興味の混合した空間への憧憬にも応えるべきものであす。
  広告物にとって色彩は見る人達の歓迎を受ける手段であると同時に、反感を買う道具ともなりうることに注意しておきたい所です。

3.照明と表示効果:
  屋外の照明による広告物の表示には、直接サイン、透過サイン、反射サインがある。それらに使用される光源は、白熱電球、蛍光灯、水銀灯、ネオン管、ナトリウム、ランプ、よう素ランプなどがあります。
  これらの表示の方式は諸光源の性質を使い分けることによって光の表示効果を出すことができます。照明によるこれらの広告物は、点滅による訴求をもちこむことによって効果を増すことができるのです。それは次のような理由によるものです。

  1.点滅の効果的な演出によって目を楽しませる
  2.点滅による変化によって時間をもちこむ
  3.点滅による視覚上の大きさの変化
  4.反射によるネガタイプの表示
  5.動きを見る楽しみ

これらの表示における変化は、テレビの前に時間を忘れるのに似たひとときを我々に与える。照明あたえられた演出効果と、動と静、明と暗の対比を利用した変化にあるバランスは、優れた訴求効果を期待できるものです。

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広告物と文字

1.コミュニケーションと文字:
最後の氷河期時代の狩猟者たちは、わずかばかりお互いに話し合うことができ、また話すことを通じて子供達に教えることができたようです。彼らはこれまで地上に生息していたどんな動物も決してしえなかったコミュニケーションをするようになった動物でした。約2万年前~1万年前にあらわれた狩猟家たちは洞窟などに絵をかきました。このような現代の人間は、絵を描く人間であり、口で話すことばを使わないでもコミュニケーションができる最も高度に教育出来る動物となりました。
簡単な絵が遠くに離れた人達に意味を伝えることができることを知った人たちは、ことばに代わる意思伝達の方法として、長い年月をかけて絵を抽象化した図形を言葉と結びつけ、文字を誕生させた。このような文字になるまでの図形は所有などを示す記号の使用が文字の誕生を早めたことになるのです。

2.文字の表示の方法と効果:

1文字の書体

[漢字]
  日本へ中国から漢字が伝わってきたのは3世紀の終わり頃である。中国では泰の始皇帝がBC200年頃に統一した国家をつくり、文字・度量衝から、車輪の寸法まで統一すると、その宣言を公布すた。皇帝の文字はてん書で、臣下は隷書でというきまりも作りました。
  2世紀ごろ、紙が発明されて、木片にかかれていた隷書は紙に書くために徐々に形をかえていったのです。7世紀あたりに楷書が完成する。筆も隷書用の鹿の毛のものから兎の毛のやわらかいものに代わっています。てん書はもともと実用書体ではないので漢代に入ると隷書におされて影がうすくなっていきました。
  今の文字の書体は活版印刷による文字の形を主体としているが、一般に可読性の優れた文字として明朝体を基調している。
  このように明朝体は、中国で10世紀の頃から木版による書物の印刷が行われるようになり、当初は楷書が彫られて用いられが、量産化が進むにつれて文字が直線的となり、宋朝体とよばれるものになったのです。
  宋朝体の直線化が更に進んで16世紀になるといわゆる明朝体があらわれる。この頃の明朝体は今の明朝体のように横線がむやみと細いものではなく肉太です。
  このように明朝体は木版の量産化によってできた書体で、一種の標準化、規格化の産物です。
  様式の金属活字が中国で一般に用いられるようになったのは19世紀を半ば過ぎてからで、日本においては1870年に上海から来日した技術者によって、その技術が伝えられてからです

[かな]
  漢字のくずし書きによるかな文字の普及は平安末期には総数300字ぐらい、一人一人の使用字数は100~200字ぐらいでした。
  鎌倉、室町と時代が下がるにつれて、かな文字の型が変貌し数も陶汰されていきました。江戸時代に入ると書道が変体かなの各体を書き分けたのに対し、庶民文字の普及と共に文学書の出版はかなの字体統一をうながした。そして明治、政府は変体かなを切り捨てかなの基本字体を47と定めた。かなが生まれてから1200年、永い歴史の中に今のかなが定着しました。

[ローマ字]
  今日、欧米で使用されているアルファベットは、古代ギリシャから古代ローマに伝えられたローマ・アルファベットを基本字体としています。古代ローマ国家はあらゆる種類の目的に文字をもっともひろく用いていました。そしてイタリーの市民で読み書きができる人の数は高率であったということです。
  ところがローマの滅亡は文字にとっても暗黒の時代となっていきました。文学は学問一般と共にキリスト教会の保護をうけ、教会によってひろめられた文字は大衆の利用できないものとされました。数百年後の11世紀に文字が商業に使われることになったが、読み書きの知識を大衆の手にもたらすようになったのは15世紀の印刷術の発明後のことです。
  今日、ローマン体とよばれているものは古代ローマ時代の文字を復刻して活字にしたものが基調となっている。それは1470年代のことです。
  グーテンベルグの作った活字は、12~13世紀には既に使われていたゴシック様式の文字を活字にしたもので、後のドイツ文字になったものです。
  英文字の書体はリーダータイプとディスプレイタイプに分かれます。
  リーダータイプはローマン体を基調としている。ローマン体には古代ローマの文字を基調としたオールド・ローマンと近代になってつくられたモダン・ローマンとがある。また、ディスプレイタイプにはエジプシャンとサンセリフ(ゴシックともよばれる)とがあります。

2.描き文字

広告物における描き文字は、描かれた文字による直接的訴求及び各種表示への利用を目的としているので、描かれた文字を複製再現する描き文字の間接的利用については区別しておくと良いでしょう。
  印刷術の発明による文字の大衆化の結果、活字による文字との接触が多くなってきました。それは同時に文字の形体の面では、明朝体との接触の機会が多くなったということでもあります。毎日の新聞をみてもほとんどが明朝体で書かれています。一方テレビに登場する文字は報道関係を主体としてゴシック体の利用が多いです。われわれの日常はこれらの2つの書体によって文字に接しています。これは新聞の紙の問題、高速印刷等の事情があるにせよ、可読性に最も優れている明朝体の特徴を研究し、また可読性の優れた明朝体をつくるにはという努力の結果とも関係がある。一方のテレビのゴシック体は、映像の送り方と受け取り方との関係で文字の鮮明さを主体とした結果である。このように日常の文字との接触は大部分が明朝体とゴシック体とであるから、これ以外の書体の使用は特殊な伝達内容を意味することになるのです。
  これらのことは英文についても同様なことがいえます。英文のローマン体は漢字の明朝体に相当する。描き文字としての立場から言えば筆書きの伝統からいって楷書が適当であるということになるのだが、美しく読みやすい楷書を書くことは相当の熟達が必要です。その点、明朝体は文字の形体としても再現体において容易な書体である。これは明朝体が再現のために直線化され、標準的な形態をもつようになったためである。したがって明朝体やゴシック体を描くときは標準化された文字の部分の形を正しく書きあげることが要求されます。

3.印刷文字

文字は次のような方法で印刷される。
  1.活字による印刷
  2.写真による製版と印刷
  3.シルクスクリーンによりる印刷
  4.木版による印刷

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広告物とシンボル

1.シンボルの表示の方法と効果:

1.シンボル:
  人間とシンボルとの最初の出あいは、先史時代における自己を表示するもの、自己を他と区別するための部族のシンボルと、私的所有権を示すシンボルとでありました。
  部族のしるしは、ある動物が自分たちの先祖であるとする信仰と結びつき、自分に代るべきものとして、自分をシンボライズするという方法となり、自己の所有権を示すものとしても使われた。
このようなことは文字以前の記号であって、文字と呼ばれるためにはこれらの図形に一定の意味があたえられなければならない。意味があたえられるということは自分たち以外のものとの約束と理解ができるということです。
  意味が与えられた多くの図形は、文字としてシンボルとしてコミニュケーションの働きに利用されるようになっていった。一方、部族標識としての図形の認知は、姓を印るすものとして造形されていき、紋章として権力者のシンボルとなっていった。シンボルを特徴づけているものは人間の知恵と言えます。

2.サイン:
ある徴候(きざし)をみるとその連想として浮かび上がってくる事柄がある。街路がぬれていれば雨が降ったことがわかります。傷ついた人をみれば以前事故にあったのではないかと想像する事が出来ます。暁は日の出の前ぶれであるというように、サインには自然的なものと人為的なものとがあるのです。
自然的なサインは、人間をとり囲む宇宙が人間に生活の知恵としてさずけた各種の条件に対する反射的な知恵である。人為的なものでは社会秩序のための各種の標識類です。
最も原始的な記号である矢印は、方向指示の適格なサインとして今日でも使われている。生活の中での反射的行動に視覚的な形態をあたえることでサインとしての約束を作ることができます。広告物としてのサインは購買時点での選択をたすける条件反射をつくりだすために大衆に働きかけるシンボルなのです。

3.ロゴタイプ:
活字による印刷は文字がひとつずつに分かれていて、それらの文字をいろいろと組み合わせることによって語や文をつくることが特色ですが、頻出する文字の組合わせなどについてはあらかじめひとつに組合わされた文字をつくっておく。このような合成活字のことをロゴタイプと呼びます。
  また、広告などで繰返し使われる企業名や製品名をひとつのスタイルによって統一したものとして特殊に文字のデザインがなされたものをロゴタイプと呼んでいます。
  ロゴタイプを制作するにあたっては、次のような注意点があります。
  1)企業や製品のイメージが理解される。
  2)印象的であり、記憶に残しやすい。
  3)どんなメディアに利用されても充分に効果のあがるもの
  ロゴタイプはそれを使用する効果の上で、企業の宣伝に対する統一性、反覆し訴求されることによる親しみの感情、それらを通じて起こる信頼感などが基調となり、シンボリックな意味をもちます。
  ロゴタイプの製作にあたって個々に企画立案される例と、同一企業から表示される製品名ロゴタイプの例があげられる。後者の例は企業イメージの統一性を考慮して、専用のタイプフェイスをつくり、その組合わせによる標準化を行うことにより、作業の能率化を促進できるようにしました。

4.トレードマーク:
同じ会社が数種類の製品を造り、これらの製品の種類を識別するためにつくられたマーク、つまり商標のことをブランド・マークといいます。このブランド・マークが法的手続きをへて登記されたものをトレード・マークとよび、登録商標といわれているものなのです。
  トレード・マークをデザインするにあたっては、次の諸点に留意すること。
  1)他社との類似を避け、明確な形態的個性をもつこと。
  2)企業のイメージを表現すること。
  3)どんなメディアにも使用できること。
  4)作図法を示しておくこと。
  5)社色との関係を定めておくこと。
  6)表現上のバリエーションを示しておくこと。
  7)縮小の限界を定めておくこと。
  8)パターンの表現を示しておくこと。
  9)ポジとネガについて、ネガの際の扱い方を示しておくこと。

5.アイソタイプ:
ウィーンのオットー・ノイラート氏の創案になる国際的な記号言語。1920年代に2,000以上の記号を含む視覚辞典を作成、一種の視覚言語とその文法を説いた。
  アイソタイプの利用によって1930年代以後の展示形式が大きな変革をうけた。
  最近では絵本をはじめとして教科書や百科事典など、事実や知識の理解を視覚化する方法として広く利用されている。アイソタイプISOTYPE International System Of ?Typographic Picture Education の略である。

6.ピクトグラム:

ピクトグラムは絵文字、象形文字のことを指し、視覚伝達記号として古代における文字の発生を促す契機をもったものであったが、現代においては異文化交流をはじめとする国際化に対するものとして、また、その伝達機能の速度が求めれられるものとして活用価値の高さが認識され、その応用範囲も広い。ピクトグラムは単体の絵文字、絵による表示を指す。

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広告物とレイアウト

1.訴求効果とレイアウト:
レイアウトは見せる機能の充実のために、まず必要とする視覚要素を決定することから始まる。
1)大きさ、スペースの決定
2)色彩の決定
3)見せ方の決定
4)訴求目的との対応
レイアウトによる効果的な訴求のために要求されることは次のようなことがらである。
1)印象の深さ
2)理解の拡大
3)視認度の拡大
4)訴求の速度
などの個々の視覚の問題処理と共に、全体の統一的感情をつくりだすことに効果をもたせなければならない。レイアウトが目的としているところの機能はこれらのことがらである。

2.フォーマットレイアウト:
  使用を決定された視覚要素を位置づけるには、レイアウトによる効果に期待をしなければならないのだが、基本的な構成についての方針が各種の広告物について共通に求められているとすれば、その統一性の枠の中での多様性として、レイアウトによる変化づけを求めなければならない。そこでレイアウトの問題はまずフォーマットづくりから始まるということになります。フォーマットとは、視覚上の統一性をもたせるための形式のことです。フォーマットをつくるためにはロゴタイプの扱い方やマークの扱い方など、それぞれの大きさ、位置のレイアウトを決定することによって統一性のある基本的形式があたえらえる。このときにはすでに訴求に対するコミュニケーションの内容理解が前提となり、求める形式との一体化が行われていなければならない。
  この始動の段階での訴求に対する考え方がフォーマットを決定する。レイアウトは以後の各種のメディアにおける実体化のための作業である。

3.景観シュミレーション:
  屋外広告物をどのように配置するかという景観にかかわる問題について、そのレイアウトがコンピュータ画面上においてシュミレーションされることによって、掲出結果の判断が用意となり検討上効果を発揮します。

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都市景観と広告

1.見ることの意味:
サンタクルーズ諸島の人々は「土地は残るが人間は死ぬ。人間は衰えて、埋められてしまう。われわれはわずかの間にしか生きられないけれど、土地はいつもその場所にある」という。人類学者によれば、未開人は自分の住んでいるところの景観に深い愛着を抱いており、そこでは小さな部分をも区別し命名しているし、人の住まない土地にさえ地名をつけているということだ。環境は未開人の文化に絶対必要な要素であり、彼らは自分の周囲の景観と調和しながら、働き、創造し、遊ぶ。彼らは環境に完全に自己同一化していると感じており、そこを離れることを好まないといわれる。
人間は環境との関係として景観に愛着をもち、土地に命名することによる物語の中に生きているといえよう。ここに展開された人間と自然環境との関係は都市にも類推される。都市における土地への命名は自然への命名の名残りなのか、土地との自己同一化のイメージは景観への意識の傾注を誘発するものとなっている。景観とは風景外観のことであり、環境の表面となって視覚によって把握されるが、環境のイメージのもつ本来の機能は、目的をもった移動を可能とすることであるから、景観は単に風景外観として鑑賞の対象とされるものではなく、環境を識別しパターン化のための視覚認識の問題は見ることに帰属するもので、環境と視覚との相対化の中で景観のイメージを決定することになるが、見ることから知ることへの移転は言語化されて心の中にすり込まれ心的風景として自己同一化にむかうことになる。見ることは目的と移動の機能を視覚が再現するという責任を景観の中で負っていることになります。

2.視覚対象としての広告物:
  人々の暮らしの中で機能する都市景観の役割りは人々を結びつけるということにどれだけ機能できるかということであろう。都市は地方から集った人々を集約的に労働に結びつける役割をもって誕生しているものだから、その目的である人と人との関係の融和のために、そのコミュニケーション機能を発揮しなければならないという使命がある。ダイナミックで躍動する都市というキャッチフレーズは実体的ではなく、人々を都市へと誘惑するイメージの世界を形成することでしかありません。
  環境のイメージの創造は観察者と観察されるものとの2方向の過程である。観察者の見るものは外的な形態に基礎をおくが、これをいかに解釈し組織化するか、自分の注意をいかに向けるかということが、逆に観察者の見るものに影響を与えることになる。広告物のあり方もこの示唆の中に実現されなければならない。われわれが広告物に注意をむけ影響をされると同時に広告物に対して観察者の意見や要求がでてくるという相対的な関係になる。受容と批判の関係が主観的に機能するとき、広告景観の価値は問われることになる。さもなければ価値は問われず無視され、無関心のまま大衆は別の場所へと逃避することになる。そこには記憶を失った無意味なトポスが残るだけとなるのです。

3.空間の図と地:

  今日のわれわれの視点は日常のTVの影響もあって風景を二次元化された映像として見るということに慣らされてきました。したがって、関心の対象となっている広告物をある景観の中で眺めた時、その広告物は図となって風景の中にある他のものは全て地となるということになる。ゲシュタルトとしての相対的な関係が成立しているとなれば他のものに対しても同じことがいえる。景観の中で広告物ではなく建物や他の建造物に関心を示していればどうなるかということも検討してみる必要があろう。全体と部分の総和と分離による対立ということが認識されるべき対象である。

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